スターロード S30 グリーンZ 旧車専門ショップの控えめな姿の奥に覗かせる本気
パシフィコ横浜で開催された「ノスタルジック2days 2017」には、まったく古さを感じさせない輝きを放つ旧車たちが並んでいる。その中でも、東京に店を構えるSTARROADが持ち込んだのは、それまで2流メーカーと言われていた日産を、世界の日産に引き上げる原動力となった、日本を代表するスポーツカー「S30Z」。
このページでは、その中からグリーン系のカラーにオールペイントされた渋い仕上がりの1台を紹介しよう。
効果的なカーボンパーツ
同時に展示されているワイドボディ装着車両と比べると、幅も色も若干控えめに感じるかも知れないが、旧車好きの中には、このおさまりの良い纏まったスタイリングが好みという人も多いことだろう。控えめだがきれいな発色のボディカラーに、カーボン製のミラー、オーバーフェンダー、リヤスポイラーは、決して派手すぎず、しかし、レーシーな雰囲気をしっかりと演出し、如何にも”走り”そうな雰囲気を醸し出している。また、旧車の欠点でもある暗めなヘッドライトもLEDヘッドライトに交換され、現代のエッセンスもうまく活用している。
S30Zは、1978年が最終モデルであるため、どんなに新しいものでも40年近く経っていることになり、博物館やガレージで眠っているようなことがない限り、見えない部分の腐食などは相当進んでいても、何ら不思議ではなく、古さを全く感じさせない、まるで新車のような状態にまで再生できてしまう「STARROAD」のレストア技術には、驚かされるばかりである。
使えて走れるエンジン
3.0Lへのボアアップはもちろん、ピストン、コンロッドのバランス取り、77.5度カムシャフト、強化オイルポンプなど、一緒に展示されているレッド系にカラーリングされたS30Zと同じく、見た目だけではなく、しっかりとエンジンにまで手が入れられている。
どちらの車両にも共通している項目だが、エンジンのボアアップ(排気量アップ)をする際は、シリンダーブロックをボーリングし、シリンダー径を大きくするのだが、そのボーリング作業は、エンジンをすべてばらした状態で行う。シリンダーブロック単体の状態で、そのまま真円に削ってしまうと、組つけた際ヘッドボルトやクランクの締め付けトルクは非常に強いため、規定トルクで締め付けた状態のシリンダーブロックには、ほんのわずかだが歪みが生じる。
そこで、ダミークランクとダミーヘッドを使い規定トルクで締め付けた状態、つまり、上下にボルトで引っ張られている状態を再現したままボーリング作業を行い、シリンダーブロックがわずかに歪んだ状態で真円が出るように加工されている。実際の歪みは、目で見てわかるような歪みではないのだが、ダミークランクとダミーヘッド使用しないでボーリングを行った場合とでは、出力、耐久性、レスポンス、全てにおいて違いが出る。S30Zに搭載されているL型エンジンは、現代のエンジンと比べると構造はシンプルであるからこそ、こういった細かな作業をするのとしないのとでは、雲泥の差が生まれるのである。
旧車専門ショップならではのオリジナルパーツ
2017年のノスタルジック2daysにSTARROADが持ち込んだ車両には、多くのSTARROADオリジナルパーツが組み込まれおり、まず紹介したいのが、16段の減衰力調整が可能なオリジナル車高調、ピロアッパーが付属し、アッパーシートにニードルローラーのスラストベアリングを採用することにより、ステアリングの操作性とスプリングの動きを向上させ、サーキットからストリートまで幅広く対応する車高調になっている。
そして、STARROADがプロデュースを手掛けるホイール、GLOW STARも旧車好きの心をくすぐるポイントをしっかり押さえている。ブラックカットディスク ブロンズアルマイトリムと名付けられたカラーリングがなされ、その深いリムはなんとブロンズカラー、そして、シルバーとブラックにカラーリングされたディスクのコントラストと相まって、立体感と凛とした華やかさをプラスしている。
決して廃れない30Z 懐しきMid Night Blue スタンスネーション2018 in お台場
スターロードがついにS30Zのワイドボディ化に。Zカスタムに新たな1ページが加わった。
「Fighter」を身に纏ったS30Z。スターロードオリジナルワイドボディーキット
問い合わせ:有限会社スターロード
TEL:03-5668-5675
HP:http://www.starroad.co.jp/
Text |Shingo.M
Photos|TUNERS