オーストラリア軍ほか、欧州軍隊が装備する
G-CLASS(古くはゲレンデヴァーゲン)と軍との関係は深く、その生い立ちまで遡ると、軍用車として開発された車であった歴史に辿り着く。現在でもG-CLASS は、各国の軍隊が採用する車であることに変わりはなく、その製造は、民生用と同じラインで行なわれている。
〝極限の走破性と耐久性〟のコンセプトはしっかり守られている
G-Classはもともと、軍隊での使用にも耐えられるミリタリースペックを考慮に入れて開発されたという経緯を持っている。ゆえに、街中を走っているG-Classとて軍用車と変わらない基本構造が与えられている。ラダーブレームや前後リジットアクスル、軽量という言葉とは無縁の強靭なボディに始まり、一般ユーザーはおおよそ使う機会がないであろうフロント、センター、リアのデフロックの装備などなど、極限の走破性と耐久性という開発当初のコンセプトは35年たった今でもしっかりと守られているのだ。
メルセデス・ベンツとシュタイヤー・ダイムラー・プフとの間でG-Classの開発が始まったのは1972年のこと。その2年後にはプロトタイプが完成し砂漠でのテストドライブが行なわれている。その後さらなる改良が施されながら、1979年、プロダクション”G Model”と名付けられたゲレンデヴァーゲンの製造が、オーストリアのグラッツで開始された。
シビリアンモデルのW460に対して、ミリタリーモデルはW461という型式が与えられ、完全オーダーメイドで製造されている。これはシビリアンモデルが現行のW463に変わっている現在でも変わりなく、W461からモデルチェンジすることなく受け継がれているのだ。
2ドアロングやロングボディの幌モデルなどその仕様は多岐にわたっているが、シャーシーは基本的にシビリアンモデルと変わらない。それゆえ、シビリアンモデルはオーバースペックといえるほどの堅牢性を持ち合わせているのだ。機会があれはぜひG-Classの下回りを覗いてみて欲しい。前後リジッドアクスルやアーム類などは、これでもか、というくらい太く頑丈な作りになっている。
ちなみに、W463となったシビリアンモデルも駆動系以外はデビュー当時と変わらない姿を見ることができる。
ほとんどの工程をハンドメイドでこなしながら、G-CLASSの生産ラインは45分に1台というゆっくりとした流れの中で行なわれている。これはミリタリーモデルもシビリアンモデルも同じ。同じ工場内の同じ製造ラインを移動しながら、ミリタリーモデル、シビリアンモデルそれぞれに合わせた架装が施されている。この事実からも両者に基本性能に差が無い事がわかる。
現在、W461はオーストリア軍を中心にヨーロッパ諸国の軍隊をメインに配備されている他、警察や消防署、公共機関など各種パブリックサービス向けにも製造、納車されている。それゆえ相当数の生産台数があるわけだが、出てきては消える「G-Classの販売は今年が最後…」という噂は、この辺りのことも絡んでいるのではと思えてしまう。
NATOと関係国が連携して治安維持部隊KFORを編成、そこでもゲレンデヴァーゲンは使われていた。
Gクラスパーフェクトブック VOL.03
ぶんか社