東京都世田谷区の環八沿いにあるヒルズオートを訪れ、店舗紹介とともに注目の車両を紹介することになっていた。
そして、スタッフに案内され、このマスタングと初めて対面することになったのだが、あまりの存在感と美しさに、同行していたカメラマン共ども、思わず「おぉ・・・。」と声が漏れてしまった。
さらに、撮影するため移動することになるのだが、エンジンに火が入った途端、建物や地面までもが震えだすような大迫力のエキゾーストノートと周囲のすべての空気を吸い込まんとする吸気音が響き渡り、数々のチューニングカーや、レーシングカーを間近で見てきた私でさえ心拍数が上がるのを感じたほどである。
アメリカンマッスルカーの代表格
マスタングはそれまでオジサン臭いと言われていたフォードのイメージを払拭するため、スポーティな見た目と、高性能でありながら誰でも買いやすい価格をコンセプトに、初年度で40万台を売り上げ、まさにアメリカンスポーツを代表する車種と言えよう。
今回取材させてもらったこのマスタングは、1969年~1973年に製造され、1969年以降を初代のマイナーチェンジととらえるか、2代目ととらえるかが分かれるところだが、この記事では2代目として扱う。
2代目マスタングは、当時アメリカで流行っていた、いわゆるマッスルカーの流れを汲み、初代に比べボディが大型化、さらに、日本ではマッハ1と呼ばれるBOSSシリーズの、BOSS429には、7リットルのV型8気筒エンジンを搭載し、カタログスペックでは375馬力とされているが、実際には600馬力近く出ていたと言われるモンスターマシンだ。
そして、この車両を見て気が付いた映画ファンもいるかもしれないが、この車両のモデルは、キアヌ・リーヴス主演の映画『ジョン・ウィック』に登場するBOSS429と瓜二つ。
もちろん映画に登場している実車ではないのだが、映画ではキアヌ・リーヴス演じる元凄腕の殺し屋が操る車であるだけに、その存在感は納得である。
注目のモディファイ内容
もちろん、輸入車の販売だけではなく、レストアやカスタムまでこなすヒルズオートが、ただ単に映画に登場する車両を模しただけの車両を制作するはずもなく、そのモディファイ内容は注目すべきポイントが山ほどある。
まず何と言っても驚きなのは、あたかも純正のように収められているエンジン。
このエンジンは通称「コヨーテエンジン」と呼ばれ、最新型のマスタングGTに搭載されているV型8気筒5.0Lで、さらにラウシュ社製のスーパーチャージャーで武装されている。
正確なパワーは測定していないということだが、レーシングサプライヤーやフォードのチューナーとして有名なラウシュ社の手掛けた最新のマスタングが700馬力を超えていることを考えると、このマスタングは間違いなく700馬力前後という恐ろしいパワーを発揮していることは間違いない。
スタッフ曰く「いきなり公道を走るのは危険」と言っていたのは納得せざるを得なかったが、ぜひ本気を出した姿を見てみたいと思ったのは私だけではないはずである。
Espionage=エスピオナージは、リングブラザーズが手掛けた、ワイドボディを身にまとう初代マスタング
そして、アメリカから買い付け、日本に持ってきた直後、ミッションが壊れてしまったようだが、ただ修理するだけでは済まさないのがヒルズオート、なんと、6速のマニュアルミッションに乗せ換えてしまっている。
エンジンやミッション以外にもいたるところに手が加えられ、フロント265/35R18、リヤ295/35R18という極太タイヤを飲み込みながらも、絶妙なバランスのスタイリングを可能にしている足回りは車高調を装着しているからに他ならない。
もちろん、内装の張替え、最新のオーディオやスピーカーなども装着され、古さを全く感じず、快適な車内空間に仕上がりになっている。
「車とは夢そのもの」という1つの答え
このマスタングを見て感じたことは、取材当日のインタビューで、代表である永井氏が語っていた「その人に本当に合った車を提案する」という言葉のとおり、ただ高額な費用をかけるのではない。
ユーザーと向き合いとことん会話することにより、そのユーザーに合った最良の一台を提案しているヒルズオート。
もう一台取り上げた「フェラーリディーノ308GT4」とは、ある意味真逆の方向性を持ったこのマスタングも、ヒルズオートが提案する妥協なき車選びの一つの答えなのだと感じることができる。
HILLS AUTO(ヒルズオート)
【田園調布ショールーム】
住所:〒158-0085 東京都世田谷区玉川田園調布2-1-1
TEL:03-3722-1101
FAX:03-3722-3322
HP:https://www.hills-auto.jp/
TEXT:Shingo.M
PHOTOS:TUNERS