青空よりも澄んだスカイブルー 中井 啓 氏が手掛けたポルシェ993
世界的に著名な「中井 啓」氏を知っているだろうか。ポルシェを専門としているチューナーだ。中井氏が手掛けるポルシェには、それぞれに中井氏本人が命名した謂わば「シリアルナンバー」が存在している。
この993には「RAUH PASSION」というシリアルが称されているそうだ。
スタンスネーションお台場に登場したこの「911カレラ」は、元を正せば中井氏本人が所有していたものだ。現オーナー「イタガキ」氏は、この993以外にも930ターボを所有しているという。
RWB ポルシェ993を徹底解剖
見るからにサーキットを超スピードで滑走していそうなフォルムだ。ノーマル以上に張り出したオーバーフェンダーは、ボルトオンされている上にコーキング剤を丁寧に注入されて空気の整流効果を確実なものにしている。
パワーウィンドウも固定されているのを見ると、ドアパネル内は徹底した軽量化を図られているようだ。サイドステップも丁寧な仕事をされている。ちょうどこのサイドステップにシリアル「RAUH PASSION」のロゴが貼り付いている。リアスポイラーも、しっかりとした揚力を確保できる形状をしている。
正直、ここまで力の入ったポルシェを公道走行させるのは怖い。飛び石一つにまで気配りしたいほどに美しい。エンジンルームは空冷最終ポルシェボクサーそのままの姿だ。
車内も大きな変更や電飾が付いているわけではないが、「イタガキ」氏の993はボディワークでポルシェ本来のポテンシャルが最大限に引き上げられている。
ポルシェ好きだからこそ空冷にこだわれ 水冷にはないポルシェらしさ
私が思うポルシェの完成形は、水冷無くしてありえない。ドライ散布方式のオイル循環を持つポルシェにとって、熱対策は絶対に必要なポイントになる。しかし、一般的にはポルシェを愛するがゆえに水冷を忌み嫌う傾向が強い。
だが、それで良い。
昔ながらのポルシェが持つ特性を生かした破綻のない走り方に、無駄な要素など一つとしてないのだ。どこまでも踏み続けられる感覚を与えてくれる水冷ポルシェと、確実なメカニカルロスを意識しながらも、トラクションモンスターであるポルシェの旨味を使い切る空冷ポルシェ。どちらも正解であって、それぞれの良さがある。
だが、ポルシェを愛するのであれば空冷をあえて選ぶ意味と同じように、水冷を選ぶことによるポルシェの完成形を理解しておいてほしい。
今回取り上げているポルシェ993は、空冷として最終型のモデルになる。空冷ポルシェの完成形ということだ。中井氏がとっておきのボディワークを施したスカイブルーの993。
最高のボディとメーカーの作り上げた純正の機能美のコントラストは、これはこれで完成形なのだろう。
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崇拝から信仰にまで昇華した中井イズム イタガキ氏が唸る993の方向性
どこに停めてあっても目を引くスカイブルー993。このボディカラーになったのは、中井氏から譲り受けた際に変更されたものだという。元色はシルバーだったのだが、イタガキ氏のイメージを感じたままに表現した結果、中井氏のセンスによって変更されたという。
現物を見て、実際に乗って、その上で納得して購入に至ったイタガキ氏だが、いざ手元に来た993はこのスカイブルー。だが、不思議と違和感は一切なかったという。これが世界を舞台にチューニングを生業としている中井氏の不思議なところだ。
基本的には全て中井氏にお任せで作り上がっているこのポルシェ993だが、現時点においてもイタガキ氏はこのスタイルを変更する気にならないという。
ボディワークは中井氏の手による細かなデフォルメが入ったりもするが、自ら手を加える必要がないと判断できているのは、イタガキ氏が既に中井氏に対して崇拝ではなく「信仰」にまでその意識を昇華しているからに違いない。
今後も中井氏の意志の赴くまま、このポルシェ993は進化と発展を迎えていく。その姿を一番近くで感じていたいというイタガキ氏の強い信念を感じた。
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TEXT : NONO
PHOTOS : TUNERS