検証企画第3弾 2005年式のBMW M3(E46型)
チューナーズでは、これまで「BMW X3 3.0i」「200系ハイエース2.5L SGL」とアイスフューズがもたらす効果について、実際の試乗や施工ショップのインタビューも含め検証を行ってきた。
検証企画の第3弾、取材に協力してくれた車両は、2005年式のBMW M3(E46型)。「なんだまたBMWか」と思わないで欲しい、今回の車両は今までのようなノーマル車両ではなく、バリバリ本気仕様のフルチューニングが施された1台だ。
今回の記事では、注目度満点のM3の車両紹介はもちろん、そのチューニングカーがアイスフューズに交換してどういった変化があったかなど、オーナーの素直な感想をお届けしよう。
アイスフューズ検証企画第1弾
ICE FUSE(アイスフューズ)の実力は本物か検証してみた。
国際サーキットのレコードホルダー
今回の検証企画に協力してくれたM3のオーナーは、韓国人のリーさん。そう、リーさんはスタンスネイション東京2017に出品するため、わざわざフェリーで18時間かけて大阪に入り、その後7~8時間かけて東京まで自走していくことを計画していたそうだ。
そこへ、以前から交流のあった「Dレジェンド代表の東氏」といっしょに訪韓中だった「ユナイテッドサウンド代表の長谷川氏」と出会ったのだ。アイスフューズに興味を持ったリーさんは経由地でもありDレジェンドのある大阪でアイスフューズの交換をして東京を目指すことになった。
当然本サイトでは「アイスフューズ」の検証として、その真相を追い求めていたため、我々取材班はその話を聞きつけたのち、すぐさま大阪と東京へと取材に向かったのである。
ちなみに、このM3は、韓国にあるヨンアム国際サーキットにおいてE46型M3のレコードホルダーでもあり、リーさん本人はSPLチューニングというチューニングショップの共同代表も務めている。
外観だけでも本気度がわかる
見てもらえばわかる通り、レーシングカーがそのままサーキットを飛び出してきたかのような外観で、ロケットバニーのオーバーフェンダーとGTウイング、そして、R34GT-R用を加工したというマフラーがその本気度を物語る。
車内にはイエローカラーが目を引くロールゲージが張り巡らされ、これがこのまま公道を走れるのかとい心配になる。オーナーであるリーさんのこだわりは、「サーキットで速いのはもちろん、ストリートでも峠でも楽しめる車を作りたい」ということ。
その証拠に、これ程のチューニング施しているにも関わらず、ミッションはM3純正のSMG。日本では壊れやすいというイメージのSMGだけに、大丈夫なのかと心配して聞いたところ、「きちんとオイルの管理をして、正しく乗ってやれば心配ない」とのこと。また、サーキットを全開で攻めているにも関わらず、今まで大きなトラブルになったことはないという。
日本で通用するのか試したい
韓国でチューナーとして成功しているリーさんが、なぜわざわざ日本まで来たのか聞いてみた、
「韓国に比べて日本のチューニングカー文化はとても進んでいる。いつか自分の手でチューニングした車で、日本のイベントに出ることが夢だったんです。それと自分のチューニングカーが日本でどう評価されるのか試してみたかったんです。」
と、大阪への留学経験から、少し関西弁交じりの流ちょうな日本語で答えてくれた。
そんな夢を叶えたリーさんに、スタンスネイション2017に参加した感想を聞いてみたところ、
「とにかく楽しい。東京に着いたのは昨日の夜だけど、首都高を走ってみたりしてほとんど寝てない。でも全然眠くないんですよ!」
と少々興奮気味に話しながら、こうも続ける。
「やっぱり韓国から日本に来るというのは大変でしたけど、Dレジェンドさんをはじめ、たくさんの人の協力で実現できた。日本の人はみんな優しい!」
常に笑顔で明るく語ってくれるリーさんは、とても人懐っこい性格で、話しているとこちらまで笑顔になるほど。この笑顔と、車に対する情熱を見せられたら、誰でも力になりたいと思わされてしまうだろう。
やり手チューナーの本気インプレッション
スタンスネイション2017の前日、リーさんとタイミングを合わせて我々も大阪にあるプロショップ「Dレジェンド」へ飛んだ。アイスフューズの交換作業は、韓国の凄腕チューナーでもあり、オーナーでもあるリーさん本人が行った。当然のことだが、交換は既存のフューズと、アンペア数を合わせながら交換していくだけと簡単。
実際に装着してみてどんな変化があったのかを聞くと、
「最初はフューズを換えただけでそんなに変わらないだろうと思っていたけど、最初にエンジンをかけた瞬間から違いがすぐ分かった。スターターが回ってエンジンが掛かるまでの時間が短くなったんですよ」
とのこと。そして、アクセルのレスポンスも向上したと喜んでいた。確かに、エンジンの掛かりとレスポンスの向上は、以前のX3やハイエースでも実証済みである。だが、今回のM3は、87mmから87.5mmにボアアップされ、ESSチューニング製のスーパーチャージャーで過給するという本気仕様。
国際レースが行われる本格的なサーキットで、コンマ1秒にこだわるリーさんが言うのだから、その効果がどれほどのものなのかは容易に想像できる。
今回の検証でハッキリしたのは燃費への好影響
もう一つ明らかに効果が出たと思われるのが燃費。今までの検証では、アイスフューズを取り付ける前後の試乗しかしていないため、明確な燃費への効果は分からない。しかし、今回の検証では、燃費にも良い影響を及ぼしていることがハッキリした。
韓国からフェリーで大阪に上陸したのち、東京へと出発する前にガソリンを満タンにし、その後、大阪から東京お台場までを自走。さらに、夜通し走り回ったにも関わらず、燃料計の針は、1/4から1/3のところを指している。
東京の街中を、リーさんがどれほど走り回っていたかは不明だが、少なくとも、大阪にあるDレジェンドから、スタンスネイション2017の会場がある東京お台場までは片道500km。そしてE46型BMWのガソリンタンクはおよそ60Lだ。いくら燃料の消費が抑えられる高速道路を走ってきたとは言え、これだけ手が加えられたチューニングカーで、この燃費の良さには驚かされた。
フューズは車にとって必需品だが本来は不要なもの
アイスフューズは、金属を極限まで冷やし電気抵抗が0になるという超電導の技術を応用し、電気抵抗を極限まで小さくしたフューズである。フューズは、電気回路を保護する目的で、どんな車にも必ず装着されるが、フューズ自体は車の電気にとっては抵抗でしかない。
そこで、車の中を流れる電気のすべてが通過するフューズを、アイスフューズに交換することで抵抗を小さくし、トルクアップや燃費向上などあらゆることに効果が期待できる。
今回協力してくれたリーさんのM3に、もともと装着されていたフューズは新車から交換されておらず、2005年から10年以上経っていることになる。当然ここまでの変化が出たのは、フューズ自体が新しくなったこともある程度影響しているかもしれない。
しかし、今回で3回目となる検証を終えて間違いなく言えることは、アイスフューズは確実に効果があるということだ。
今回の検証では、チューナーでありオーナー、また、サーキット走行までこなすリーさんの貴重な話と、正直な感想を聞くことができた。今後もチューナーズでは、車と人を変えながら更なる検証を行いたいと思う。
取材協力:D-LEGEND
住所:大阪府松原市岡4丁目5-20
TEL:072-339-3388
HPアドレス:http://www.d-legend.jp
アイスフューズ販売元:ユナイテッドサウンド
住所:埼玉県春日部市新方袋87
TEL:050-3532-9055
HPアドレス:http://www.unitedsound.jp/
TEXT:Shingo.M
PHOTOS:TUNERS