Mercedes-Benz G Class パーフェクトメンテナンス①
長きに渡り生産され続けているW463型のGクラス。古いモデルも現役で活躍している個体も多く、長く所有し続けることができるモデルだ。そんなGクラスの快調を長く維持するためのメンテナンスポイントをここに記す。
2008年式のG500を題材にメンテナンスポイントを紹介。レクチャーしていただくのは、オートフィールドの敏腕メカニックである原嶋辰介氏。
》》》ブレーキローターの偏摩耗は研磨または交換で対応
重い車重が影響し、ブレーキローターは偏摩耗を起こす個体も少なくない。研磨で修正不可な場合は新品へ交換となる。
》》》フロントハブのグリス漏れおよびグリス交換
フロントのハブ回りは定期的なグリス交換が必須で、必要以上に漏れだした場合は分解し、シールパッキンの交換が必要になる。
》》》重い車重ゆえにブッシュの劣化は早めの傾向にあり
01.02. 堅牢なロアアームに収まるブッシュと横方向の動きを制御するラテラルロッドのブッシュ。このふたつのブッシュが劣化していると走行安定性に大きな影響を及ぼすため、車検ごとの点検が必須。
03. スタビライザーのブッシュはその潰れ具合で交換を判断するが、サビの有無によっても新品へと交換することもある。
04. スタビライザーはブッシュのほかにもリンク部分のブッシュも点検ポイント。
05. ダンパー下部に付くブッシュ。サビの影響を受け劣化が促進していることも。このような場合はブッシュのみの交換を実施することもある。
》》》サスペンションリンクのゴムブーツの破れをチェック
タイロッドエンドやピットマンアームに使用されているゴムブーツ。破れの有無が点検ポイントだが、純正パーツはゴムブーツのみ交換ができないため、ジョイントアッシー交換になる。しかしオートフィールドでは、他のメルセデス用ブーツを流用しリーズナブルに交換するという手法も持っている。
》》》パワステフルード漏れは上下から点検が必須
パワステフルードの漏れは、ピットマンアームとの接続部に付くシールの劣化が原因で起こることが多い。このほか、ラジエターの後ろに付く、パワステフルードのリザーブタンクの劣化から漏れが生じることもある。
》》》燃料ホースとホースバンドと燃料フィルターの同時交換
燃料フィルター、燃料ホース、ホースバンドは車検ごとに点検し、サビなどの劣化が酷い場合は交換しておきたいパーツ。
》》》ATF およびATF スクリーンの交換は慎重な作業になる
7速ATの一部はバルブボディにトラブルが出やすいため、ATFおよびATFスクリーンの交換は、それに精通した工場で行う必要がある。
》》》ステアリングダンパーは油漏れをまずチェック
キックバックを抑制ししっとりしたステアリングフィールを与えるステアリングダンパー。オイルが漏れていたら交換が必要。
》》》内部の劣化と外部のサビが高額な触媒の交換原因
前輪の後ろ側に位置する触媒は、凍結防止剤などでサビやすいため、走行後は洗浄がお勧め。触媒内部の劣化はオイル管理が悪い場合に多い。
》》》作動音が大きく鳴り出したら交換を考慮した燃料ポンプ
燃料ポンプはインタンク式ではなく外付けタイプ。車体の最後部付近に付くが、作動音が大きく鳴りだしたら交換を考慮すべき時期である。
》》》エンジンマウントより交換が多いミッションマウント
エンジンマウントよりもミッションマウントの方が劣化しやすい傾向にあるGクラス。車検ごとの点検は必須なポイントだ。
》》》少しの緩みがエンジン不調をきたすアースケーブル
リアシート下にバッテリーのマイナスアースは、フロアからフレームへと連結される。そのアースケーブルに緩みが生じていると電気系の不調を起こす。
》》》油漏れの有無が必須のエンジンダンパー
基本設計が古いGクラスは、高年式モデルでもエンジンダンパーが付く。効その効果の有無にかかわらず、オイルが漏れていたら交換が必要だ。
》》》高年式でも発生するルーフライナーの垂れ
高年式のGクラスでも発生履歴があるのがルーフライングの垂れ下がり。予防などは特に無いのだが、中古車購入時には点検すべき部分である。
》》》高額なタイヤカバーゆえにバックでの破損に注意
スペアタイヤーカバーは高額なアイテムで、純正アッシー交換となると10万円超えとなるので、破損させないよう、バック時などは注意したい。
》》》トラブル原因が数種類あるパワーウインドー
レギュレーターの変形、スイッチ不良などが原因でトラブルが出やすいパワーウインドー。作動頻度の少ないリアも定期的に動かしておきたい。
》》》ユニバーサルジョイントのグリスアップ
ユニバーサルジョイントで連結されるドライブシャフトは、定期的なグリスアップが必須。使用グリスは純正がお勧め。
》》》いざという時に発生することが多いデフロックトラブル
前後およびセンターに付くデフロックGクラス。W463は専用のフルードラインの中を流れるブレーキフルード(4)をアクチュエーター(2)とロックシリンダー(1)で制御し、操作は電気スイッチで行っている。点検ポイントはデフロックシリンダーとアクチュエーターが正しく作動するか、ブレーキフルードフルード漏れの有無、スイッチと作動モーター(3)の異常の有無だ。
》》》オイル交換と同時に弱点の点検も必須なデフ&トランスファー
01. センターデフと副変速機の役割りを担うトランスファー。前後のプロペラシャフトが連結される部分は定期的なシール交換が必要となる。
02. トランスファーオイルはミッションオイルに近い粘度の指定オイルを定期的に交換する。
03. トランスファーのHi とLow を切り替え用モーター。ここに異常が発生すると、ギヤの入りが悪くなるため、定期的に動かしておきたい。
04. 前後に備わるデフは、定期的にオイルの交換が必要。また左右およびプロペラシャフト側に付くシールからのオイル漏れが点検ポイント。
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