耐久性と走行性能の両立
NSX最大の武器は、何と言っても軽量で高剛性のボディである。
どんなにグリップするタイヤを装着し、ハイパワーのエンジンを積んでいても、そのパワーを正確に、効率よく路面に伝えることができなければ、宝の持ち腐れになってしまう。
パワーを活かし、ストレートでいくら最高速を伸ばしても、コーナーで安心してステアリングを切り込むことができないようでは、結局速い車とは呼べない。
つまり、速い車とは、路面から伝わるインフォメーションを正確且つ素早くドライバーに伝え、逆に、ドライバーの意思であるハンドリングやスロットルワークも確実にタイヤに伝えることができることが肝要。
結果的にエンジンが生み出すパワーを余すことなく使い切ることができ、誰が乗っても気持ちよく走れる速い車になる。
仮に、車がどれだけ重くなっても良いという性格のものであるならば、鉄板の量を増やすことで簡単に剛性を上げることができる。
しかし、運動性能や燃費などの性能も求めた場合には、軽いことも重要な性能の一つとなるため、軽く頑丈なボディはスーパーカーには欠かせない要素だ。
ところが、軽さと剛性は、単純に考えればトレードオフの関係にあるため、自動車メーカーがもっとも苦労するポイントでもある。
NSXは、それまでの常識では考えられないオールアルミモノコックを採用することで、市販車としては異次元の剛性を手に入れ、同時に1300kg台という軽量化も実現している。
余裕を持ったエンジンの恩恵
3.2Lという排気量でありながら280PS/31.0kgmというエンジンスペックは、1300kg台の車重を考えれば十分すぎるが、近年発売されるモデルを見ると、少々刺激が足りない数字かもしれない。
一昔前「リッター100馬力」というのが高性能エンジンの一つのキーワードとなっていた時代もあるが、近年リッター100馬力は当たり前、国産車ではリッター160馬力を超える車種や、世界に目を向ければリッター200馬力に迫ろうかという市販車まで存在する。
排気量が小さくパワーがあるに越したことは無いが、一つ心配なことがあるとすれば耐久性だ。
最新のエンジンは、素材や技術の進歩により、さほど心配する必要はないが、それでも、リッター100馬力を超えるエンジンというのは、理論上余裕がないエンジンである。
その点、リッター換算すると約88馬力に抑えている「C32B」は、エンジンとしてはかなり余裕を持っているということになるのだ。
それだけのマージンを残しているエンジンであるだけに、当然チューニング次第では300PS以上のパワーを出すことも難しくない。
だが、エンジンが持つ余裕のもっとも大きなメリットは、年数が経ってもパワーを維持しやすいということである。
適切なメンテナンスを受けてさえいれば、実際に15万km走行したエンジンでも、シャシーダイナモの計測で280PS以上の数値を出す個体も珍しくない。
希少価値が高いが安心して購入できる中古車
高剛性のオールアルミモノコックボディと余裕を持って280PSをたたき出すエンジンを持っているということは、比較的距離を走っていても、安心して購入しやすい中古車が多いということでもある。
もちろん、大きな事故や故障があってはならないし、その個体が安心できる状態にあるのかを的確に判断しなければならない。
今回車両を提供してくれたヨコオオートは、NSXの扱いを得意としているプロショップであるだけに、車両選びからメンテナンスまで安心してお願いすることができる。
NSX以外にもスポーツカーを中心とした品ぞろえで、スポーツカー好きならば一度は覗いてみたいところだろう。
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YOKOO AUTO MOBLE
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TEXT:Shingo.M
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