TOYOTA RAV4 人気ベースモデル解説#01
登場した2019年には全世界で90万台以上を販売したRAV4。この数字は世界的に見るとフォードF-150、カローラに次ぐ世界第3位の販売台数だ。ただし、フォードもカローラもボディ形状は複数ある。これに対してRAV4は1ボディでバリエーションが存在しないから、単独ボディのモデルとしては世界最多の販売台数を誇るわけである。実際にRAV4に乗ってみると非常に良くできたクルマであることがわかる。世界一の販売台数を誇るクルマには充分に開発リソースを回せるということだろう。
日本国内でもSUVでは販売トップに躍り出たようだ。と、今でこそ絶好調のRAV4だが、その歴史を辿ると苦難もあった。特にそれは日本市場でのことで、販売面の落ち込みから2013年に登場した4代目のモデルは日本で販売されなかったのだ。これは、日本市場では同じプラットフォームを用いたハリアーばかりが人気を集め、ユーザーをハリアーに取られた形になったからだった。しかし、より高級化したハリアーに対し、RAV4は走りの魅力をアピールした5代目が登場し日本市場にも復活。
走りの魅力はオンロードでも発揮される快活な運動性能もさることながら、豊富なリソースにモノを言わせ4WDのシステムだけでも3種類が用意されているという点にもある。異なる種類の4WDシステムをひとつのモデルに採用するのはジープのような例外を除くとほとんどない。特に面白いのがトルクベクタリングAWDと称するもので、ダートのドリフトコースに持ち込むと、トルクベクタリングの効果が明白になる。トルク配分は前後50：50なのだが、リアの左右駆動配分は状況に応じて0：100から100：0に変化するから、かなりのスピードでコーナーを攻めてもカウンターを当てる必要がないほどスムーズに回れてしまう。もちろん世界的に人気の高い理由はそれだけではなく、オールラウンドでそつなくまとめられていることだろう。強いて足りないものを挙げるとすれば、高級車としてのブランド力ぐらいのものである。
TOYOTA RAV4 ADVENTURE “OFFROAD” PACKAGE
メーカーもオフロード仕様車を投入。
アゲ系カスタム・シーンではオフロード色の濃いアドベンチャー・グレードがベースとなるケースが多いRAV4。写真は昨年秋に投入されたアドベンチャーの特別仕様車であるアドベンチャー“オフロード”パッケージで、マットブラックの18インチホイール&A/Tタイヤ、専用サスペンションにより10mmアゲを実現。さらにルーフレールや専用シートをはじめとするレッドアクセントを効かせた専用インテリアなどが与えられる。
中村孝仁=文
トヨタ自動車=写真
