通称「ケッチ」と呼ばれるカワサキKH250
速さだけがバイクの魅力とは言えない
このように書くと、「ただ古くて重くて遅いバイク」とあまり良い印象を持たない読者も多いと思うが、このKH250の魅力は、このエンジンが「直列3気筒」で「2ストローク」の「空冷」エンジンであるということに尽きると言っても良い。
まず、3気筒であることについてだが、2気筒でも4気筒でもない独特の回転フィーリングと音、そして左右非対称になったマフラーのルックスである。
この独特のレイアウトのマフラーは、いまでは当たり前の集合管(すべての気筒から出る排気管を1本に集合させる)ではなく、各気筒に1本ずつ独立したマフラーが取り付けられている。
次に2ストローク(以下2スト)エンジンについて、2輪車で初めて排ガス規制が導入された1998年を境に、新車として販売されることが無くなってしまい、今では街中を走っている2ストバイクはほとんど見かけなくなってしまった。
2ストエンジンの特徴は現代の4ストロークエンジンとは全く違うパンパンパンという音。
そして、これまた現代の市販エンジンでは考えられないほど狭いパワーバンドに入った時の、体おいて行かれるような暴力的な加速。
ターボチューンされたエンジンとも違うトルクの立ち上がりは、筆者である私も若かりし頃、初めて250㏄の2ストに乗った時には、恐ろしくてスロットルを戻したほどだ。
そして、これも排ガス規制などの絡みもあり、今ではほとんど見ることができなくなってしまった空冷エンジン。
空冷エンジンは、水冷と違いエンジンにウォータージャケット(冷却水の通り道)を持たないため、エンジン本体から聞こえる機械音が独特で、3気筒2ストロークというパッケージと相まって、戦闘機のような甲高いメカノイズは一種の恍惚感さえ覚える。
ノーマルであることの価値
先述したように、KH250は決して速くて乗りやすいバイクではないのだが、現代のバイクでは決して味わうことのできない乗り味がある。
そして、細身の車体にバイアスタイヤというルックスが醸し出す空気感は、カワサキ開発陣のこだわりや想いを体全体で感じることができるだろう。
そんな魅力にあふれたバイクは、是非当時を知らない世代にも乗ってもらいたいところだが、残念ながら現状で状態の良いKH250を見つけるのは至難の業である。
さらに、車検がない250㏄という特性上、エンジンの排気量が上げられていたり、エンジンそのものが変わってしまっていることも多く、ここまで状態の良いノーマル車はめったにお目に掛かれない。
この記事を読んで少しでも興味を持ったならば、是非一度問い合わせてみてはいかがだろうか。
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