今まで、さまざまな電気系チューニングが登場し、施工が簡単で価格も手ごろということもあり、一時的なブームになることは幾度となくあった。ところが、理論的には正しいと理解できるモノであっても、実際に取付けてみたもののハッキリとした効果が体感できないモノばかり。その結果、電気系チューニングのほとんどが、いわゆる眉唾物のオカルトチューニングというレッテルを貼られてしまっている。
筆者である私も、18年以上車業界に身を置き、15年間現場のメカニックとして働いてきた経験から、あえて正直に言わせてもらえば、そういった電気系チューニングはどれ一つ信じていない。そして幸運にも、一般ユーザーの車でアイスフューズに交換して比較検証できるということになり、今回の記事では、その時の取材の模様と、実際の効果についてレポートしていく。
これからのチューニングは電気!?新感覚のチューニングパーツ「アイスフューズ」
検証企画第1弾 2007年式BMW X3の3.0si
理にかなってはいるが半信半疑
今回の比較インプレッションに使用するのは、2007年式BMW X3の3.0siで、走行は約12万km。
まずは、アイスフューズに交換する前の状態を確かめるため試乗を行ったのち、交換作業に取り掛かった。交換作業はいたって簡単で、既存のフューズのアンペア数を間違えないように注意しながらアイスフューズに交換するだけで、誰でもDIYで可能な内容。
施工前
施工後
しかし、フューズにはエンジンやミッション、さらにはABSに至るまで、車の中を流れるすべての電気が通っている。そのため、作業をする際は、必ずバッテリーのマイナス端子を外し、1分以上置いてから作業するようにしてもらいたい。
すべてのフューズを交換するのに要した時間は30分程度、もう一度言うが、作業はたったこれだけである。
エンジン始動時に違いがハッキリ
一時はレースメカニックを目指し、20代のころは自分の車でサーキットを走っていた私としては、今回の取材が楽しみであるのと同時に、少々意地悪な視点を持っていたのは間違いない。
装着が完了し、車のオーナーにエンジンを始動してもらうのだが、私は敢えて車の後方に行き、始動時の音をチェック。
言葉では表現し辛いが「キュルキュル、ブオーン、ボボボボボ……」、この始動時に聞こえる音の最後、「ボボボボボ……」という音は、上昇した回転をアイドル回転に戻す際に働くフューエルカット時に聞こえる音である。プラグが摩耗している、ススがエンジン内に溜まっているなど、エンジンのコンディションが良くないときや、エンジンが冷えているときほど、この「ボボボボボ……」という音は多きく波打つように聞こえる。
しかし、アイスフューズ交換後の音は明らかに、その「ボボボボボ……」という音が小さく、短くなっていた。交換作業を開始してから、1時間以上経っているため、当然エンジンも冷え始めている状態であるにも関わらず、これだけの変化があったことに驚かされた。
ただし、確かに変化はあったものの、自分で言うのも変だが、視点がマニアック過ぎるため、一般ユーザーには伝わり辛いとも言えなくもない。
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走ってみてさらに驚愕
そして、ついに試乗へと走り出したのだが、違いがハッキリと体感できた点が3つあった。
1つ目は、トルクの立ち上がりが早くなっているということ、言い換えれば、車が少し軽くなったような印象さえ受けた。
2つ目の違いはアクセルレスポンスの向上だ。どんな車でもAT車の場合、アクセルを一旦緩めて再び踏み直した際、一瞬のタイムラグが生じ、トルクの谷のようなものを感じるのが普通。ところが、その踏み直した際のタイムラグがほとんど気にならなくなり、アクセルを踏む足の動きにピタリと追従してくる。
3つ目は、軽くアクセルに足をのせ、緩やかに加速していく際に感じるシフトショックが小さくなったのも感じることができた。
音の形が見えてくる
次に、電気系チューニングの定番ポイントとも言える、オーディオについてだが、これもハッキリとした違いが出た。
もともとそれほど悪くないと個人的には感じていたテスト車両の音だが、音の輪郭がハッキリとし、クリアな印象に変化。特にベースラインやバスドラムといったもっとも低い音域と、ハイハットなどの高音域で違いをはっきりと聞き分けることができるようになっていたのだ。
また、オーディオ以外で車から発せられるあらゆる音にも変化が見られ、例えばウインカーの作動音や、バック時のビープ音などもクリアに澄んだ音になっていたことには、少々驚かされたのと同時に、テスト車両のオーナーと笑ってしまった。
ただし、いわゆる音に関しては、個人の好みの部分があるため、必ずしも良い音になったとは言い切れないが、明らかに変化があったことだけは実感できる。
オーディオの音のことについてユナイテッドサウンドの長谷川氏に質問したところ、音の好みに関してはまさに十人十色。しかし、音のセッティングをとり直すことで音色の調整は出来るのでアイスフューズに交換後のサウンドセッティングをしてあげて欲しいとのこと。純正オーディオは低音や高音のレベルの調整。そしてカーオーディオを趣味としている方はカーオーディオ用のヒューズもアイスフューズへ交換し、その後、イコライザーなどの音のセッティングをとり直すことで、大きなアドバンテージを得ることが出来るのではないかということだ。
エクストレイルオーナーの間ではすでに有名
今回取材と交換作業にご協力いただいたのは、千葉県千葉市にある「the CUSTOM LAB.」、主にエクストレイルを得意としているプロショップで、個性的なカスタムから車検やメンテナンスまで幅広く対応。
もちろんエクストレイルだけではなく、どんな車でも、どんな注文でも受けつけてくれるという頼もしいカスタムショップだ。隣の販売店「プレシャス」の店頭には、エクストレイルをはじめ、SUV系の車が並ぶ。
実は、今回の取材でショップの方にもいろいろお話を伺ったのだが、エクストレイルを得意とするだけあって、エクストレイルのカスタムユーザーが多く訪れるとのこと。
そんなエクストレイル好きが結成しているオーナーズサークルでは、the CUSTOM LAB.でアイスフューズを施工したことが仲間同士で話題となり、オーナーズサークルメンバーの中で100台程のエクストレイルが既に施工済みという。
それから、この記事を書いている時にこんなニュースがthe CUSTOM LAB.の小野島氏から飛び込んできた。特にエクストレイルハイブリッドでは気になるクラッチの作動音がほとんど聞こえなくなると絶賛されていると。エクストレイルハイブリッドを乗っているユーザーの間では共通の悩みだったようだ。
車をカスタムすることが好きなユーザーは、やはり、自分の車を良いところも悪いところも良く知っているからこそ、アイスフューズの効果をハッキリと体感できたのだろう。
今回は検証のためすべてフューズを交換したが、実際にすべて交換するとなればそれなりに費用がかさむ。いくらここで効果があると言っても、いきなり高額な費用を払うことには抵抗を感じるユーザーも多いはずである。
そこで、the CUSTOM LAB.では、ユナイテッドサウンドと協力し、エンジンやミッションに関わるポイントに絞った「スターターキット」を用意しているため、比較的手ごろな金額で、アイスフューズの効果を試すことが可能。
興味のあるユーザーは、一度問い合わせてみるのもオススメである。
他条件でも検証の必要あり
これほどまでに違いがあれば、一般ユーザーでも気が付くことができるポイントは有ると思われるが、筆者としては、実はまだ100%オススメできる状態ではないのが正直なところ。
その理由は、車によって効果の出方が違うだろうと容易に想像できるためだ。
軽自動車からチューニングカー、さらにはスーパーカーまで運転した経験のある私の感覚で、尚且つ1台だけの検証では、まだプロとして皆さんに胸を張ってオススメできない。
そのため、今後車種を変え再び検証する機会を作って、追って報告したい。少し大袈裟な表現だが、必ずやアイスフューズの化けの皮を剥がしてみようと思う。
アイスフューズ検証企画
アイスフューズを韓国からやってきた本気仕様BMW M3に取付
レーシングドライバー『手塚祐弥選手』が語る『アイスフューズ』の魅力とは
問い合わせ:ユナイテッドサウンド
TEL:050-3532-9055
http://www.unitedsound.jp/
協力:カーショップ・プレシャス & the CUSTOM LAB.
TEL:047-480-7800
http://www.carshop-precious.com/
TEXT:Shingo.M
PHOTOS:TUNERS