今回の記事はいつもと少し趣向を変えて、車でもバイクでもない特殊な車両「トライクスF6T」を紹介する。
ベースとなっている車両は、「ホンダゴールドウイングF6B」なのだが、このモデルはホンダが誇るロングツアラーのフラッグシップモデルであるゴールドウイングを、北米向けにモディファイされたモデルで、前面の大型スクリーンを短縮し、リヤの大型トランクを廃止することで、よりロー&ロングなフォルムとなり、より幅広い層に支持されるようになった。
バイクの爽快感と車の安定性のイイとこどり
この「トライクスF6T」は、トライク化するにあたり、純正のF6Bの全長を390mm延長し、2,995mmという超ロングフォルムを手に入れている。
そして、F6Tに搭載されているエンジンはもとのゴールドウイングから特に変更はなく、水平対向6気筒OHCエンジンの排気量は1832㏄で、最高出力118ps/5500rpm、最大トルク 17.0kgm/4000rpmを発生し、ピークパワーは控えめながら、17.0kgmという大トルクを活かし、峠道などの上り坂はもちろん、長距離走行にはストレスのないゆったりとした走行ができる。
トランスミッションも純正の5速リターンと電動のリバースシステムを備え、基本の操作はバイクそのものであるが、車体が傾かないトライクの特性上、当然だがいわゆる「立ちゴケ」の心配もなければ、抜群の直進安定性を発揮する。
また、このF6Tのように大型で、一般的なバイクのように傾けずにコーナーリングするものは「小型自動車」に分類されるため、今のところ法律上ヘルメットの着用義務はなく、運転のために必要な免許は普通自動車(M/T)となる。
もちろん、高速道路などでは、先行車の跳ね上げた飛び石などの危険があるため、安全上ヘルメットを被ることをオススメしたいが、例えヘルメットを被っていても、走行風を体全体で受ける爽快感は十分で、普通の車では絶対に味わえない「バイク」そのものの感覚である。
ドライブではなくツーリング
法律上小型の自動車である以上、2人乗りで高速道路を走行することも可能なうえ、なんとしっかりとしたラゲッジスペースも備えているため、ちょっとしたツーリングにもピッタリ。
何気なくツーリングという言葉を使ってしまったが、バイクよりも安心感を持って使えるトライクでの遠出は、普通の車で言うドライブではなく、「ツーリング」に出かけるという呼び方の方がしっくりくるのではないだろうか。
快適性と安全を兼ね備えた充実の装備
それではもう少し今回取り上げた車両の特徴を見ていくと、何と言っても印象的なのは、ボリューミーなリヤセクションで、新型NSXのようなデザインのLEDテールライトを備え、リヤビューはスポーツカーそのものである。
このリヤセクション内部には、トライクスが独自に開発した「プッシュロッド式独立懸架サスペンション」があり、路面への接地性や追従性に優れた乗り心地と操縦安定性を実現している。
また、こういった大型トライクの安全の肝とも言えるブレーキは、もともとのゴールドウイングのブレーキシステムの機能を損なうことなく「デュアル・コンバインド・ブレーキ・システム(Dual-CBS)」を採用し、ハンドブレーキまたはフットブレーキのいずれかを操作することで、3輪すべてに適切な制動力が分配されるようになっており、安全性の担保に大きく貢献している。
そして、ベースとなったゴールドウイングの流れるようなデザインをうまく踏襲した流麗なデザインも見事で、フロントフェイスから連なるしなやかで一体感のあるフォルム、さらに低く伸びやかなスタイリングは、アウトローなイメージも併せ持っている。
取材時の車両は、リヤに標準仕様の215/60R16のタイヤを装着しているが、オプションで235/45R18という大径サイズのタイヤや、さらに充実した装備を選択することもできるが、このままでも十分快適なロングツーリングが可能な装備が満載で、大型ツアラーバイクでは定番のオーディオやスピーカーはもちろん、iPodなどを接続し収納できる小技の効いた小物入れまである充実ぶり。
正規ディーラーという安心感
車には無い爽快感と、バイクには無い安定性を併せ持ち、さらに車顔負けの装備とスタイリングを持ったF6Tは、まさに車とバイクのいいとこ取りと言ったところ。
今回の記事を見て興味が沸いたという読者も多いと思うが、今回協力してくれた「オートカフェジャパン」はトライクスの正規ディーラーであり、スーパーカーから国産車、そしてトライクまで扱う頼もしいショップ。
いつかはバイクに乗りたいけど二輪免許のないドライバーや、もう大型バイクは体力的に自信がないという元ライダーも、ぜひ一度覗いてみてはいかがだろうか。
問い合わせ
オートカフェジャパン
TEL:047-459-9200
http://www.auto-cafe.jp/
TEXT:Shingo.M