求めるのは速さだけではない
現代の車には無いデザインは旧車の魅力だが、やはりエンジンも見逃すことはできない。
現代の車に比べるとかなりスペースに余裕のあるエンジンルームは、補器類の少ない旧車エンジンの特徴で、ソレックスの3連キャブやアルミ製ラジエーターなどが目を引く。
エンジン本体のチューニングは、横浜プロテックのステージ3をチョイス。
軽量鍛造ピストン、クロモリH断面ロングコンロッドなどを使用し、ピストンとコンロッドのバランス取りや燃焼室加工、ポート研磨などが施され、街乗りからサーキットまで対応するエンジンに仕上がっている。
チューンされた6気筒DOHCの奏でるサウンドや、余計な電子制御が介入しない素直なエンジンのフィーリングは、現代のエンジンにはマネのできない特別なモノ。
絶対的なパワーでは敵わないものの、ソレックスキャブの吸気音や、当時のエンジンにしかない独特のメカノイズは、聞いているだけでも高揚感を得ることができる。
手間を惜しまない完ぺきな仕事
完ぺきにフルレストアされている今回の車両だが、レストアするにあたっては、ネジ1本に至るまでレストア対象にする徹底ぶり。
ベース車両を選ぶ上では、極力錆の少ない個体を選んで仕入れているとのことだが、そこは45年以上前の車であるため、ここまでに仕上げるためには、職人の経験と腕が無ければ不可能である。
この車両はもともと純正の朱色に近い色だったが、オールペイントをするにあたり、「レッドメガフォン」のコーポレートカラーでもある濃いレッドに一新。
同色にペイントされたエンジンルームやトランクルームなど、実に美しく仕上がっているのと同時に、なぜだか現代の車には無い独特の風合いを醸し出している。
現代の車では見ることの無い、トランク内に設置された100リッターのガソリンタンクもGT-Rの証。
インテリアに関しても、シートはもちろん、至る箇所が綺麗に張り替えられ、古さを全く感じさせない仕上がりである。
公式サイト上では価格はASKとなっているが、今回特別に販売価格を教えてもらったところ、税別2500万円とのこと。
旧車に興味がない読者にとっては驚く価格かもしれないが、200万円以上のチューニングが施されたエンジンや、希少価値が高く状態の良い個体。
そして、完ぺきなレストアという内容を考えれば、決して驚く価格ではないのである。
一度は訪れてもらいたいプロショップ
今回取り上げたハコスカGT-Rのレストアと販売を行っているのは東京練馬にあるプロショップ「レッドメガフォン」。同社では、ハコスカ以外の旧車やバイクも取り扱っている。
また、今回のハコスカGT-Rのように、現代風のエッセンスを効果的に取り入れながらも、当時のカスタマイズに拘りを持ったカスタマイズを得意としている。
ハコスカに限らず、日本で保管されている旧車は、海外に比べ保管状況が良いため、海外に流れていってしまい、どんどん台数が少なくなっているのが現状。
レッドメガフォンでは、ハコスカをはじめケンメリやZなど旧車の買取にも力を入れているとのこと。
これから旧車に乗りたいというユーザーから、実は田舎の納屋に眠っている車があるというユーザーまで、是非一度覗いてみてはいかがだろうか。
問い合わせ
レッドメガフォン
tel:03-3867-2500
www.red-948.com
TEXT:Shingo.M
PHOTOS : TUNERS