Special thanks:ワンオーナー
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40年の間に二度大きな変革を迎えたGクラス。W460のパートタイムから始まり、W463でフルタイムの4WDシステムとなる。W463Aへと更なる大変革を経て実用性の高いクルマが、機能をそのままに質感の高まったプレミアム4WDへ進化。
その時代のニーズに進化の姿が表れている
Part.02「大地を制する」
これまで数々のGクラスを紹介してきた本誌だが、改めて外装ではなく、普段見ることがない車体下側より、Gクラスの進化を見てみよう。Gクラスの整備のオーソリティでもある「ワンオーナー」にご協力いただき、3台横並びで下回りが見られる状況にしてもらった。
パートタイム4WDでスタートしたW460は、その後クロスカントリービークルと呼ばれる車種の指針となるクルマだ。何より、W460が世界の軍隊の足となり、のちにG=ミルスペックと称される所以となるモデルでもある。作りは後の2台に対しアナログな作りなので、当然故障時の複雑さはあまり無い。デフロックもワイヤー操作なので不具合も少ない。
今回用意した3車の中で歴史的に長い役割を果たしたのが2世代目のW463。パートタイムからフルタイムの4WDシステムに変更されたことで、新たな型式となった。乗用車としての役割が強くなり、より大パワーエンジンの搭載や、それに伴う電子化、何よりラグジュアリーな乗り味をラダーフレームにコイルリジットというユニットでありながら求められた。
最終的にV12 ツインターボのようなヘビー級のエンジンをフロントに奢るモデルまで登場し、元々5ナンバーサイズのボディを電子制御の力と卓越したメルセデスのチューニング力でモンスターモデルまでに仕上げた。フルタイム化によりセンターデフが追加され、象徴的と言える3つのデフロックスイッチがインテリアに登場する。デフロックピンは油圧で作動させるので、時折経年劣化などの要因で作動するオイルラインからオイル漏れを起こし、スイッチを入れてもロックピンが作動しないことがある。そのため、デフロックスイッチは時々使ってみて点検しておきたい。
最後はこれまでのモデルよりもサルーンにスイッチしたような作りの現行型W463A。フロントサスペンションレイアウトをオフロード重視であったリジットアクスルから、独立懸架のダブルウィッシュボーンを採用。リヤのみコイルリジットが残った。ステアリングの構造もボールナット式からラック&ピニオン式に変わり、燃料タンクの位置もリヤアクスル後ろの荷室下にあったのが、よりボディの中心部にプロペラシャフトをまたぐような左右均等のレイアウトを取ることで、走行時に生じる燃料満載時の荷重移動での走行安定性の影響がなるべく無いように変更。よりオンロードの走行性を高めた印象だ。
頑なに伝統的な作りにこだわってきたGクラスが、現行型から大きな変化を遂げたわけだが、格段に高まった走行安定性やフィーリング、電子制御による緻密なセッティング、飛躍的に高まった安全性能など、時代にマッチしたGクラスとして多くのファンに愛されている。モデルライフが長いGクラスゆえに世代によて異なる個性を楽しんでみると面白い。
W460でパートタイム式であった4WDシステムは、次のW46でフルタイム式に進化。現行型では高度な電子制御によって緻密な作動が可能になるなど、進化の軌跡が見て取れる。
現行型、先代型、初代型のメカニズムを徹底比較!
現行型 W463A
オンロード寄りの走りを意識させるレイアウト
今までにないすっきりとしたフロント部の足回りレイアウト。ロッド類が無く、左右のロアアームとシルバーに光るアルミの極太メンバー。リヤアクスル前にシンメトリーで配置された燃料タンク。これらが新たなGの走りへの意識改革が見て取れる。ミッションケースからトランスファーまでのプロペラシャフトもなくなり、フロントデフケースもアンダーカバー内にスッキリ隠れて突起物がほぼ無いフラットさ。
先代型 W463
フルタイム4WDでプロペラシャフトの配置が変化
フルタイム4WDになったことで、エンジンからトランスファーに出力された駆動力がトランファー内のセンターデフを介して一直線上になった前後のプロペラシャフトに、それぞれの駆動力が伝わっているのが特徴的。ラダーフレームはW460と基本的には同じだが、トランスファーの前に一本補強のフレームが増えているのが分かる。マフラーの取り回しもW460から随分ちがうレイアウトとなっているのが確認できた。
初代型 W460
元祖パートタイム4WDのレイアウト
あらゆる道を走破する目的で作られたクルマの床下であるがゆえ、一番頑丈なフレーム内に大事なミッションやトランスファー、マフラーパイプなどその他も含めて、前後のデフ玉以外をフレームより下に出さないレイアウトがGの凄いところ。不整地を走っていて、道から突起したものがあっても丈夫なフレームが先にヒットすることで、壊れす可能性のあるものをフレームで極力カバーしようとする作りに感動すら覚える。
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Report:犬塚直樹