2000年代に入り、突如として大きなムーブメントを巻き起こしたラグジュアリー・カスタムは、その後すそ野を広げ、さらに新しい価値観を交えながら確実な発展を遂げてきた。けっしてひとときの流行に風化することなく、今ではSEMAショーを代表するカスタムカルチャーのひとつとして、確固たる地位を築いている。
古くから日本人はカスタムの文化を、アメリカからの輸入に頼ってきた。パーツの輸入、情報の輸入。我々は常に本場アメリカのアイデアやテクニックを参考にし、可能な限りを模倣してきたのである。ところが、ここ数年で徐々にではあるが、そのパワーバランスが変わりつつあるのは事実だ。日本から海外に向けたカスタムの輸出。その成功例の一部は先にも紹介した通りである。
東京のアースコーポレーションが2015年のSEMAショーに向け、アメリカに持ち込んだベントレーもそんな意欲に溢れた1台だった。日本人ならではのアイデンティティをふんだんに盛り込んだ力作。特筆すべきは、これぞジャパンクオリティの結晶とも言えるボディワークの美しさである。一見すると車高を下げたノーマルなのか……と見誤ってしまうほど巧妙なラインはしかし、フロント片側35㎜、リア60㎜も張り出したワイドボディなのだ。プロデューサーであるアースコーポレーションの代表・内藤氏曰く、「大切にしたのは一体感」。ベントレーがあたかもこのままの姿でラインから下りてきて、ディーラーにデリバリーされる……そんな姿がイメージできるクオリティなのだ。さらに氏がアメリカで披露したかったジャパニーズ・カスタムは、ホンモノの24Kゴールドを全面にメッキしたカスタムホイールである。これはすでに日本の一部で実践され、目新しいものではないが、アメリカのラグジュアリー界では前例のないメソッド。このベントレーを基に、新風を吹き込もうと考えたのだ。
しかし、とても残念なことに、現車がSEMAショー会場を彩ることはなかった。日本から届いた高級車両の入港に検査がかかり、なんとロサンゼルスの港で長いこと足止めを食らってしまったのである。万事休す。ところがだ、アメリカのカスタム界が現車のポテンシャルを見逃すハズはなかった。果たしてLEXANIホイールが名乗りを上げ、LAオートショーに展示され、多くのアメリカ人を沸かせたのである。
Custom Spec.
パールホワイト
フロントバンパースポイラー&グリル
サイドスカート
リアバンパースポイラー
リアウイング&トランクスポイラー
フロントワイドフェンダー
リアワイドフェンダー
カーボンエキゾーストチップ
ドアミラーカバー
カスタムライト
LEXANI 22inch×24K GOLD
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EARTH CORPORATION
Tel.03-5926-8033
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Text & Photos|SEMA RULES